ファンのあいだではその過激なゲームプレイやダイアログで有名なBulletstormであるが、Bulletstormに常に話に上がる別の話題がその美しさだ。これはアートディレクションによるところが大きい。People Can Fly のチームは、その戦闘的なイメージと同じくらい見ていて楽しめる世界を生み出すためにどんな労力も惜しまなかった。考えてみるとこれを成功させるのは非常に大変なことだが、Bulletstorm ではこれを比較的スムースにやり遂げている。狂ったような大混乱と平穏な美しさの微妙なバランスを完璧に描写している。「平穏」という言葉はあまり当てはまらないかもしれないが、それでもきれいなシーンはたくさんある。
初心者のために付け加えると、Bulletstorm は元暗殺者の宇宙海賊、Grayson Hunt の物語で、クルーメイトの Ishi Sato と一緒に歓迎してもらえそうにない惑星、Stygia に2つの目的で向かう。まずは惑星に降り立つこと。そして 2 人をこの状況に置いた男、司令官の Sarrano 将官に復讐を果たすことだ。その後には、忘れることのできない危険で激しい冒険が続く。
想像がつくと思うが、これほど鮮やかな世界を作り出すのは至難の業だ。幸いにも、People Can Fly のチームはこの役目を果たし、Bulletstorm のビジュアル的なアイデンティティを明らかなものにする土台を築き始めた。多くの様々な影響やいくつかの改良段階を経て、アートチームは Bulletstorm を定義づけた世界観を描き出すことに成功したのだ。この過程、そして今回リリースされる Bulletstorm: Full Clip Edition にこの過程がどう関係しているかについてもっと知りたいと思い、People Can Fly で 12 年にわたり働いている Bulletstorm: Full Clip Edition のアート ディレクター、Krzysztof Dolas 氏にお話を伺い理解を深めるいくつかの点を教えていただいた。
Bulletstorm のアート チームの最初のゴールは何だったのでしょう?
当初、PCF は Epic Games の傘下に入ったばかりの時でした。Epic はグラフィックの優秀さにおけるアイコン的存在で、アーティストはほぼ全員が Epic のゲームに影響を受けています。当社の主な目標は、Epic の品質基準を維持しながら、私たち独自のものを作ることでした。まず当社を差別化するものとして考えついたのが、当社独自の色の嗜好でした。コミックといってもいいような、鮮やかで明るい刺激的な色に溢れた世界、それをまず最初に思いたのです。危険に満ちたSFの世界が必ずしも暗い色で染まっている必要はないわけです。ただ、子供向けの明るく健全な印象の漫画のようになってもいけません。当社のデザイン方針の一つともうまく結びついていました。真実味のある世界でなければならない。でも現実過ぎてもいけない。ストーリーは安物の漫画雑誌のスタイルと同種なので、後工程を入れてビジュアルをさらに強化するようにしました。Unreal Engine で作られたゲームは、レンダリング方法のため見た目がに通ってしまう傾向がありますが、そこを打破したいと考えました。これまでにない斬新なゲームだ、と叫んでしまうような独自性のあるものを作りたかったのです。
そのアート スタイルを表現しようとしていたアート チームの雰囲気はどうでしたか?
Bulletstorm は、プレイヤーが空想の世界のユニークな敵と戦う一方で、エキゾチックでワクワクする場所での「胸躍る宇宙空間でのオペラ」を見るようなすごい旅に出ている気分を味わえるゲームにしようと思いました。SFのテーマは言ってみれば地に足のついた感じでまとめています。奇妙なほどに慣れ親しんだ感じをプレイヤーに与えるためです。このゲームの世界観は、これまで見たことのないようなものですが、同時に (時代の流れを引用することで) 理解しやすい内容になっています。崩壊状態のリゾート惑星のストーリーで売ろうと考えました。パワフルで止めることのできない感覚を与えたかったんです。スネーク・プリスキン (ニューヨーク1997: Escape from New York) になってネオ (マトリックス: The Matrix) のスキルを使いこなしてグラインドハウス (Grindhouse) の映画スタイルで敵を全滅させることを想像してみてください。
Bulletstorm のアート スタイルは主にどんなものが影響していますか?
コミックっぽいスタイルと実際にありそうなかなり真実味のある場所とのバランスを常にうまくとるようにしました。ギリシャのハルキディキやスペインのアンダルシアのような実在の場所に影響を受けている部分もありますが、現実世界よりもスケールが大きくど派手にすること、という大きな 1 つの目標に執着しました。また、グラインドハウスやキル・ビルのようにそれに慣れてしまうように、流血ももういいというくらい盛り込みたいと考えました。カウボーイビバップシリーズや Fear Agent、リディック (The Chronicles of Riddick)、 セレニティ (Serenity) が大好きでした。Gears of War (ギアーズ・オブ・ウォー) のアイデアを拝借することはあまりしたくなかったのですが、キャラクターのゴツゴツした厚みのあるスタイルが気に入っていました。
Bulletstorm のアート ディレクションや反復プロセスはどのような感じでしたか?
目まぐるしい時もあり当時のアート ディレクター Andrew Poznański は、初めは材料がうまく調和するように見えない場合もあるけど最終的に美味しいものができるといった、インスピレーションを寄せ集めたスープのようなものだ、とよく言っていました。結末は一見すると無秩序ですが、そこにある狂気とも言える熱意こそがすべてを1つにまとめて、ゲームの全体的な雰囲気を何となく補完しているのです。
アートの観点から、新たに作り上げた Bulletstorm: Full Clip Edition での一番の見所を教えていただけますか?
やっと自分たちが当初描いていた通りの形のゲームをプレイヤーに届けることが出来ることです。私たちは優れたアートを生み出し、様々なプラットフォームで実行させるためにそれをリバースエンジニアリングするといったことを常に求められています。現在のハードウェアの能力があれば、オリジナルの壮観さを取り入れることができます。最初に作成した非常に詳細なモデル、シェーダー、テクスチャーを使用して、没入感を中断することのないシームレスなゲームプレイを作ることができています。そして、自分たちの求めている通りのゲームのビジュアルが仕上がるように後工程も改善させることができました。
お分かりかと思いますが、Bulletstorm のアートに惚れ込む要素はたくさんありますが、Bulletstorm: Full Clip Edition でも同じ見事なアートスタイルは健在で、しかも分解能が向上しています。4 月 7 日の Bulletstorm: Full Clip Edition では多くの改善点やアップグレードがあるなかで、強化されたビジュアルの美しさは私たちが一番自信を持っている点です。Bulletstorm: Full Clip Edition の詳しい情報を知りたいですか?Twitter (@Bulletstorm) と Instagram (@bulletstormgame) をフォローして、Bulletstorm Facebook ページで「いいね」をすると最新の情報やニュースを見ることができます。